山田昌弘「少子社会日本」

購入。衝撃の書。以下、自分用メモ。

  • 2055年には総人口8993万人。うち65歳以上が4割。15歳以下は10%以下
  • 地方と大都市間で、人口・経済格差が拡大する
  • 2007年に22歳の女性では、一生結婚しない人は23.5%、子どもを産まない人は37%になると予測されている。男性は、それ以上に高く、一生結婚しない男性は3割程度、子どもをもたない男性は45%程度になると見てよい
  • 共同体が崩壊し、宗教が衰退したため、「長期的に信頼できる関係」が自動的に与えられる社会ではなくなった。だからこそ、長期的に信頼できる関係を「個人的に」作らなければならない社会になったのである。それは、多くの人にとっては、昔のような共同体や宗教集団ではなく、家族を作ることによって達成される。というようりも、信頼できる関係を「家族」という言葉で呼ぶようになり、それを自分で作り出さねばならくなったのが近代社会の特徴なのである
  • 近代社会が進展し、個人化が徹底すればするほど、むしろ、「家族」への欲望は加速する
  • 男性結婚率は年収と比例する
  • 親同居未婚者は、男性では収入が相対的に低い層、女性は、親の収入が相対的に高い層が多い。男性は、経済状況が好転して将来収入が高くなれば、もしくは、今の収入でも選んでくれる女性が出てくるはずと思いながら未婚のまま待つ。女性の方は、収入が高い人と出会えるまで、親と同居しながら待つという人が多い。この頃から、結婚しない理由として、「相手と出会わない」という回答が増えてくる
  • 女性は、経済力が高い男性を「好きになってしまう」傾向が強い
  • パラサイト・シングルは低収入の若者層のセイフティーネットとして機能している。だた親が亡くなってしまうと生活手段がなくなる。10年、20年後には問題化してくるであろう
  • 未婚化が「男女交際の増大」の中で起こっていて、魅力格差が存在していること、そして、たとえ、お互いが好意をもったとしても、「経済状件」が整わなければ、結婚まで踏み切らない
  • 希望は努力が報われると感じるときに生じ、努力してもしなくても同じと思えれば絶望が生じる
  • 「戦力の逐次投入はしてはいけない」「状況に応じた大胆な方向転換が必要である」「精神論で問題は解決しない」という敗戦の教訓を生かすことはできないのだろうか

少子社会日本―もうひとつの格差のゆくえ (岩波新書)

少子社会日本―もうひとつの格差のゆくえ (岩波新書)