モテたい理由

ほぼ一気読み。男と女が社会の中で力を得たいと思ったとき、それぞれの望むもの、そしてその望み方の違いが見えてきて、とても面白い。
男が力を得るということは、例えばここの箇所がわかりやすい。

男は仕事ができることが魅力的とされ、その仕事は、「特化している」ことが魅力である。魅力的な男は何か特化したものを持っている、ということは、男とモテに関する本で言われないことがない。私自身も、特化している男が好きだ。みんな、男を見るときには「この人の専門はなにか」というような見方をする。だからこそ、「積み上げたものがない」というのは特に男の世界では怖い。フリーター、ニート、ひきこもり、などは積み上げたものがないからよけい出られなくなるという悪循環に、特に男の場合はまりやすい。 p162

これは男ならわかってくれるんじゃないかと思う。いまの男の子まんがで言えば『ハンターxハンター』なんか、まんまこのことを描いている。あの世界ではそれぞれ自分の適性に沿う「念能力」を身につけたハンター達が跋扈し、主人公達はそのなかで揉まれながら自分の強さを「積み上げていく」。正直、こういうものにグッとくる部分が自分のなかにあります。
対して女が力を得る場合、自分の力を積み上げる、のではない。いかに求心力を持つか、ということになる。

女の歓び・・・。グループの中で自分がいちばん多くの異性の目を集めながら、最高の(自分の意中の)一人から(ステディあるいは結婚の)プロポーズをもらえること。自分からは餌をまき(体のラインを強調してみせたり胸の谷間をほのめかしたりする、など)獲物を待つ。そして目当ての獲物がかかったとき。そして言わせたいひと言を、「相手の意思で」言わせたときの歓び・・・。これが女性が最も達成感を感じるゲームのストーリー、女の全能感のシナリオである。 p26

設定された場での関係性のなかで、いかに優位なポジションを占められるか。それだけの魅力を持てるようになるか。それが女が力を得る方法になる。なので、女性誌にはその魅力を身につけるべく「モテ」や「愛され」のテクニックが披露されることとなる。興味深いのは、魅力にも質があり、自分の努力で得た魅力よりもともと備わっていた魅力の方が上質とされることだ。それは生まれた家柄の良さ・育ちの良さだったり、生まれ持った美しさだったりする。その方が価値が高いらしい。

モテたい理由 (講談社現代新書)

モテたい理由 (講談社現代新書)