雲のむこう、約束の場所

 というわけで『雲のむこう、約束の場所』を見ましたよ、と。
 光の表現がすばらしかった。画面いっぱいに色とりどりの光が溢れている。こういった光の表現っていうのは、パソコンのモニタで作っているからこそ、じゃないかな。その点で、伝統的なアニメとは違った、新しい世代なのかもしれない。
 あと、どの瞬間を切り取っても「絵」になる映像だったな、と。どこをとっても構図がキレイだった。
 こういった映像っていうのは、短編やPVなんかに向いてるように思う。なので、次回作は短編3つの連作というのを聞いて、特性を生かしているのかなと思った。
 ひとつ違和感があったのは、女の子が水面に落ちかかるシーン。女の子が落ちかかって片腕で自分の体を支え、そのあと男の子がまた片腕で女の子を支えるんだけど、このシーンからは「重さ」ってのを感じなかった。女の子とはいえ、人間の体って相当重いぞ。とてもあの体勢で片腕では支えられない。その辺、もう少し肉体感覚があったらよかったかなぁなんて思った。
 あと、一昔前に流行った「セカイ系」の理解がハッキリしてきた。なるほど、恋人と世界情勢が同じ大きさで語られるという意味が。でも、これってしょうがないというか当たり前のことで、つまり実際にそういう世界に住んでいるのです、我々は。昔みたいな中規模な共同体はもう絶滅寸前で、それぞれ個人、または核家族が大きな割合を占めている世界。そこにテレビやネットで世界情勢の情報が流れ込んでくる。まんまの状況じゃん、これって。最近の子は社会を想像できないと言われるけど、しょうがないよね。